甲虫の武器サイズを決めるインスリン様ホルモン(NEW!)

昆虫はカブトムシの角に代表されるような”武器”を進化させたものが数多くいます.こうした武器は,オス同士の闘争を有利にしますが,生存は繁殖そのものに必須ではない,いわば”オマケ”的な器官であるため,栄養条件の良い,エネルギーに余力がある個体では巨大化する一方で,余力がない個体では極めて小さくなります.この「栄養依存的な発達」を担う生理機構はよくわかっていないことが多いですが,我々がモデル系とするオオツノコクヌストモドキという甲虫で,ある特定のインスリン(様ペプチド)が栄養依存的に分泌され,武器である大顎の発達を促進することがわかりました.このペプチドをコードする遺伝子(ILP2と命名)をRNAiによりノックダウンすると,栄養条件が良い個体であっても大顎サイズが小さくなり,まるで小型個体を拡大コピーしたような大型成虫が得られます.これは,正のアロメトリを担う遺伝子の一つを解明したことになります.

 

 

武器のサイズを変えるエピジェネティックな仕組み

"武器"を持つ甲虫 オオツノコクヌストモドキ

 

 

なぜ武器だけ形やサイズの変異が大きいのか?

 

 

多様性を生み出す仕組み"エピゲノムの可塑性"